だいぶ前にTVで仕事ぶりを拝見して興味を持っていた松岡正剛さんの『知の編集工学』をようやく読んでみました。
編集とは何かという話から始まり、編集の歴史、編集文化、編集の可能性など話は多岐にわたりますが、その節々に松岡さん独自の編集観がよく現れていて、なかなか面白かったです。
中でも、人と人のコミュニケーションの概念として「お互いのエディティングモデルを交換する」という発想がとても興味深かったです。
コミュニケーションの伝達モデルの代表的な例としてシャノン・ウィーバーモデルを挙げ、機械的であり人間間のコミュニケーションの本質を捉えてきれていないとし、エディティングモデル交換という自らの仮説を紹介しています。
コミュニケーションの場において生じている先行的な編集構造があり、その中でお互いの編集モデルを贈りあい、意味の交換を(写像的に)行う、という考え方は編集者ならではの表現の仕方だなと感心しました。
このあたりはデザインにおける概念モデルの話にも通じるところがあるように思えました。
題名が示すように全編を通して編集をテーマにしていますが、「編集は人間の活動にひそむ最も基本的な情報技術である」「私たちのコミュニケーションの本質そのものに編集的なるものがひそんでいる」というあとがきの文にも象徴されるように、広義のコミュニケーションを語っている本でもあります。
書かれている内容の捉え方は読む人の立場や考え方にも依存すると思いますが、個人的にはデザインだけでなく、アーキテクチャ的な視点で考えさせられる話も多く、とても楽しく読むことができました。
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| 知の編集工学 (朝日文庫) |
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